短歌や俳句は日本の文化の一つとして嗜む人も増えてきつつあるようです。
冬の短歌や俳句を作る時、確認しなければならないのが冬の季語ですね。
今回は冬の代表的な俳句・短歌について調べてみました。
冬の短歌・俳句の特徴は?
冬の季語、これがあるだけでどのような作品が作れるか、どの言葉で言いたいことを伝えるかなど様々な考え方をすることができます。
冬の季語は流派や情報源で多少変化は出てきます。
まず、冬一杯使える三冬
そして初冬・仲冬・晩冬の三つの
異なる時期に使う言葉です。
何かしらの単語もあれば、特定の出来事を一つの単語にまとめたもの。季語に必ず続く枕詞など種類は非常に多くあるんです
中にはダイヤモンドダストやポインセチアと言ったカタカナ語もチラホラとはいっているんですよ。
ここでは冬の短歌の例や、現代版の短歌などを見ていきましょう!
短歌で冬を表現した有名作品例。
短歌で冬を表した作品達はいくつもあります。
ここでは有名作品をご紹介しましょう。
東の野に かぎろひの 立つ見えて
かへり見すれば 月傾きぬ (柿本人麻呂)
有名歌人・柿本人麻呂の短歌。
東の野原に明け方の、ほのかな光が陽炎のように見え、振り向いたら月が沈もうとしている。
冬のうっすらとした明け方を詠っていますね。
かぎろひは陽炎のこと。
陽炎が立っていくのを見て、振り向いたら一方では月が沈んでいくという風景です。
冬の空に立つ陽炎は温かい太陽を表しており、月の寒々しさとの対比を見ることができます。
傾く、は月や陽が沈んだり、無くなっていくことをいいます。
雪降れば 木ごとに花ぞ 咲きにける
いづれを梅と わきて折らまし(紀友則)
もう一つは紀友則の短歌。
雪が降ったので、どの木にも花が咲いている。
(一体)どれを梅と区別して折ったらいいのか。
雪が木につもり、花のようになっている風景です。
いづれを、は、どれを、を意味しています。
また木ごと=木毎と書けることから…
もうわかりますね、梅という字になるんです。
この言葉遊びが「いづれを梅と」とかかることで、梅(のように、雪)が咲き誇る枝が美しくて判別するのがむずかしいなあ、という感情を表現しています。
この部分は漢字を学んでいる人間がわかるということで、漢字から発想を得たちょっと変わった表現方法が特徴的です
冬の短歌の現代版作品の数々
今度は現代の冬の短歌を見ていきましょう。
まずは井上靖(1950年、芥川賞受賞・小説家)
自伝小説「あすなろ物語」から
寒月が かかれば君を しぬぶかな
あしたかやまの ふもとにすまう
しぬぶ=偲ぶ。遠くの人や無くなった人を懐かしむ。
アシタカヤマ=愛鷹山は富士山の南にあります。
かな=~だなあ
冬の夜冷たく冴え渡った光の月が出ていると君のことを思い出しては懐かしく感じてしまうなあ。
愛鷹山の麓に住み続けていると。
「あすなろ物語」では
六人の女性との交流を描いています。
交流の多い主人公の言葉として読むと悲しみより深い感情が読み取れます。
水盤に 我が頬をうつす若水を
また新しき涙かと見る(与謝野晶子)
水盤は生花などに使う、底の浅い容器。陶器や鉄製であることがほとんどです。
若水は、元旦に初めて汲む水を言い、一年の邪気を払ってくれます。
元旦の朝の風景がみられますね。
短歌・俳句とは?違いは
短歌は「五・七・五・七・七」、俳句は「五・七・五」と決まった音で一つの情景を表現する手段をいいます。
俳句には季節を表すための「季語」と言われる言葉を必ず含む必要があります。
この季語は季節ごとにまとめられており、冊子として持ち歩いている歌人の方も多くいるんですって。
一方の短歌は分類が非常に多く、自然詠・山川草木、花鳥風月を主体としたものから
病床詠と言われる病床で詠んだものなど非常に多くの詠み方が存在しています。
どちらも使える文字数は少ないですが、中に含む情報量は非常に多いです。
いかに少ない音で状況を詠めるかいかに情景を感じられるか、が俳句や短歌の肝(キモ)ともいえます。
昔から今まで形は多少変われど、いつまでも尽きない情景の移り変わりを日々詠う歌人たちがいるというわけです。
まとめ
いかがでしょうか。同じ冬の短歌でも、様々な表情がありますよね。
温かい前向きさをうたった歌や物悲しいものをうたった歌、題材や描き方も様々です。
更に近代になってくるとクリスマスなど、カタカナの言葉を使うことも一般的です。
季節感を詠うことが短歌なので例え海外からの文化でもどんどんと取り入れていく、たくましさを感じる文化なのではないでしょうか。
あなたも一句、冬の詩を詠んでみませんか?
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