「夜に爪を切ると、親の死に目に会えない」こんな話、聞いたことありませんか?
「霊柩車が通ったら親指を隠せ」とか、夜に詰め切るなとか、こういうのを「迷信」といいます。なぜこのような迷信が生まれるのでしょうか?
夜に爪を切っては行けない理由
夜に爪を切るということは、夜爪を切る=世詰めという語呂合わせで親より早死にするという意味もあります。
でも迷信にはきちんとした根拠があります。(語呂合わせやそれっぽい言い伝えが付け加えられているものもありますが!)
というのは、その言葉ができた当時の時代や事情によって言葉の意味は変わってしまいます。
例えば、「夜口笛を吹くと、蛇が来る」ような言葉がこの言い伝えにあたります。
当時、夜口笛を吹くお仕事は夜の大人の仕事か、泥棒だったわけです。そんな理由で泥棒を招いたりそういう大人の真似をしている子供として見られないようにしつけをするんですね。
その結果、夜口笛を吹いてはいけないと教育されて今に至るというわけです。
話を爪に戻しましょう。
さて、昔明かりは高級品でした。つまり夜は家の中が真っ暗です。
爪を使う時、当然ですが刃物を使いますよね?
暗闇で刃物を使うと・・・そうです、怪我をする危険性があります。中には指ごとやってしまう人もいるでしょう。
なお、当時武士は短刀で庶民は小さいノミで爪を切っていました。
もうおわかりですね?
そうです、足を怪我して相手のところに急いで行けない!おまけに出血で死ぬかも!?
そうならないように、夜は爪を切ってはいけない、のです。なので今の時代ならそこまで気にする必要もありません。
しかし、子供の時からそう教育されているとやっぱりそういうことはできませんよね。
こうして今も同じ様に迷信が言い伝えられているんです。
ここからは縁起が悪い話と、実際に切ってしまった時の話を見ていきましょう。
夜に爪を切ると縁起が悪い?!なぜなんだろう・・・
そもそも夜に爪を切ると縁起が悪いと言うのは、いったいなぜでしょう?
先程は語呂合わせや当時の生活から、夜に爪を切るのはよろしくないという理由を説明しました。
しかし更に詳しく当時の生活を覗いてみると爪を切る、という行為自体、縁起のよろしくない行為でした。
日本の古典文学の王道「日本書紀」の中で、すでに「爪にも人体の霊魂が宿っている。なので幽霊などが多い夜に爪を切るのはよろしくないです」という記述が記されています。
日本では幽霊や精霊が身近にあると考えられている「神道」などが中心となる国や人種でした。常夜=夜=死者の国という考え方が日本書紀を始め、古事記等でも深く根付いていたわけです。
更に江戸時代になって儒教が広まったことから、夜に爪を切ってはいけないことの意味合いが変わり
親にもらった体であるので夜にもらったものを粗末に扱うとは何事か!という考え方に変わっていきます。
もともと夜という時間自体によくないイメージがあった頃なので、痛みの有無にかかわらず体に傷をつけることはよくなかったんですね。
夜に爪を切ってしまった!どうしたらいいの?
夜に爪を切ってしまった!でも気になってしかたないし、お風呂後の方が爪を切るのにいいって聞いてつい…。
そんなときでもご安心ください。大丈夫、迷信ですから!
でも、電気を消したまま爪を切るのはさすがに危ないのでやめましょう!
また親御さんが子供を大事に思う気持ちも含まれています。
そして夜に爪を切って、心配になっている。そんな人なら、きっと親孝行な人です。
そういう意味であれば、親子共々いい関係を保っている一番の証拠でもあります。
心配であれば、夜に爪を切らないよう、早めの時間に爪を切ったり、一度神社にお参りしてみると気分が楽になるのではないでしょうか。
今の気持ち、忘れないでくださいね!
まとめ
夜に爪を切ってはいけない理由は、昔は小刀やノミで爪を切っていたことから手元が滑って大事にならないようにという教訓から生まれました。
そのため電気が発達した現在では深く考えなくても大丈夫です。
更に昔には、夜そのものが死者の時間であり「魂を削る」=爪を切るのは避けるべきとした文献があります。
このことから、理由は変われど、日本人に根付いた一種の思想とも言えるかもしれませんね。
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